吃音症ことどもり症の日本語による諸外国の事例についての情報は少ないのが現状です。
ですので、
月刊紙『スタタリング・ナウ』No.131より、以下、一部抜粋し、引用させて頂きます。
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ISA(国際吃音者連盟)オンライン会議
「吃音は障害か」
翻訳・編集 日本吃音臨床研究会・国際部 進士和恵
エドウイン・ファー(ヨーロッパ吃音者協会(ELSA)会長、BSAイギリス)
「ELSAは、吃音は障害であるという立場をとっており、ヨーロッパ障害者フォーラムの組織の一員として国連にも登録されており、今回の会議にも参加する権利はあるのだが、ELSAから今回は派遣の予定はない。ISAも代表を送るのであれば、理事会が吃音を障害とみなすかどうかの立場を正式に決めた方がよいのではないか。」
ジョン・ステグルス(オーストラリアSEA会長)
「この会議に代表者を送るとすればマイケルは最適任者ではあるが、その場合、ISAが経費(500ドル)の一部を負担をすることにもなるため、以下のことを先ず明らかにすべきではないか。
1.会議の目的は何か
2.ISAにとってこの会議から得られるものは何か
3.ISAにとって会議の掲げる目的を達成することはできるか。言語障害は他の重度の障害のかげに隠れてしまうのではないか。そのような会議で言語障害を障害と認めてもらうことの意義は果たしてあるのか。
4.参加する個人には、その目的を達成するためのガイドラインなどは与えてられているのか。」
国際吃音者協会(ISA)会長マーク・アーウィンによる動議(オーストラリア)
「吃音者の言語機能は、程度の差はあれ神経生理学的な要因があることは証明されており、その要因のために人によって吃症状の違いや重さがちがってくる。従って吃音を障害ととらえてよいのではないか。」
動議10: マイケル・シュガマンがニューヨーク障害者会議にISA代表として参加することを認め、経費の一部500ドルをISAが負担する。
動議12:ISAは吃音を障害であるという立場をとる。
マイケル・シュガマン(ISA理事、アメリカNSA、IFA消費者代表)
「この会議は国連が関わっていて、世界中の吃音者や吃音にかかわる人々に吃音の正しい知識を普及させるためにも、国連やユネスコ、WHOと連携することが得策である。吃音者の人権を守るためにも、吃音に関する教育が必要であり、ISAが目標とする『吃音を理解する世界』を作るためにも必要である。ISAの目標は、この障害についての会議をともに協力して取り組むとともに、国際的な場面においてイニシャティブをとるべきである。ISA理事会が吃音が障害であるとの立場を明らかにすれば、世界の障害者のコミュニティーの一員として名を連ねることができ、今後代表を派遣することができる。」
アン・メルツアー(CAPSカナダ)
「吃音が障害であるかどうかという議論は、白黒をはっきりさせるようなもので、それは明らかにISAの立場に反するものである。吃音が大多数の吃音者(全てではない)にとって少なくともある時期、障害であったことは立証されている。しかし、障害として経験している人でも障害とは考えない人もいる。」
ヤン・ピル(ISA顧問理事、カナダCAPS)
「ISA理事会が、吃音が障害であるとの立場を公式なものとすることは、ISAの憲章にはそぐわないであろう。しかし、「場合によっては、吃音は障害となる」と言うことはできるだろう。それによって世界の障害者運動と連携することが可能になるだろうし、同時にフォーラムを開いて「場合によっては吃音は障害ではない」という考え方も議論すればよい。」
メル・ホフマン(ISA顧問理事、アメリカNSA)
「NSAは、吃音が障害かどうかについて、立場を明らかにしていないと思う。それよりも吃音についての様々な見方や情報を広めることを役目としている。ISAと同じような立場をとることに賛成する。個人的な意見としては、多くの吃音者にとって、吃音は障害だと思う。少なくとも過去においてそうであって、セラピーを受けたりコントロール法を学んだりすることで吃音にうまく対処して傷害ではなくなってしまったということだろう。吃症状が軽い人の場合は、吃音が障害であるとは思っていないだろう。しかし、だからと言って、ISAが吃音は障害であるという立場をとれないということにはならないと思う。
アメリカでは、1990年の障害者法によって、吃音は障害として扱われている。」
ジョン・ステグルス(オーストラリアSEA会長)
「自分の吃音を受け止めている吃音者は多いと思うが、問題は障害だと感じるよりもただ不便だと思っていることの方が多いのではないか。それに対して、二次的な症状を伴う慢性的難発がある人の場合は、それは障害としてあり続けるだろう。いずれにしても吃音を障害とみなすことがISAの発展に助けとなるかどうかが問題である。エドウインは、ELSAは、ヨーロッパ障害者フォーラムの一員となることによって、政的にも政治的な意味でも恩恵があることを立証しているが、そうではないこともあるかも知れない。しかし、ISAが吃音は障害であると認めることで、障害者としてラベルを貼られることを望まない人もいるかも知れない。より広い範囲の会員のためになるような方向性を考えるべきではないか。
吃音を障害と定義することの利点と不利な点はと言えば、利点の方が多いだろう。不利な点としては、グループとしての考え方が個人の考え方に優先されることだろう。しかし、吃音がその重さの度合いによって障害となるという言い方では説得力を欠き、WHOへのアプローチが難しくなるのではないか。
ISAの参加によって何を目的とし達成しようとするのか知りたいと思うが、それは参加してみないと誰にもわからないということがあるので、結論としては、十分に経験のあるマイケルの参加を支持したい。」
ヤン・ピル(ISA顧問理事、カナダCAPS)
「条件が整えば、基金集めなどの意味でも、ヨーロッパの例のように障害と認める方が利点は大きいと思える。「場合によっては吃音は障害であると考える」という動議を出してはどうか。」
マーク・アーウィン(ISA会長、オーストラリア)
「吃音を障害と認める賛成票:マイケル、ジュディス、ペニー、川崎、ジョン、ウォーレン
棄権:アニー、ジョゼフ」
結論:マイケルを派遣する費用は出さない。
動議12の修正案:「ISAは吃音を障害としてとらえ、年齢や症状の重さ、またセラピーやサポートを受けられるかどうかによって、対処できるレベルは異なるという立場をとる。」
アニタ・ブロム(ELSA副会長、スウェーデン)
「吃音が障害であるのかそうでないのかは、吃音者それぞれが決めればよい。症状が重くても問題と思っていない人もいれば、ほとんど吃らないのに何とかして治そうとする人もいる。また今日は障害であっても明日はそうでなくなるかも知れない。しかし、吃音が障害ではないと定義すれば、われわれは実際にサポートや技術的な補助やセラピー、まわりの非吃音者への啓蒙などを必要とする者として、どのようにしてそれをまわりに訴えることができるのか。障害ではないということは、政治的には「問題がないのだから援助は必要ではない」ということになる。障害と認めることによって、他の障害者の団体と連携して、権利要求の声を挙げることができる。そうでなければ法の保護も受けられず、財政的援助ももらえないのではないか。」
コンラッド・シェーファーズ(ELSA理事、ドイツ)
「アニタの意見はその通りである。個人が自分を障害者としてとらえるか否かに関わらず、ヨーロッパではそれぞれの障害の運動に関わることで恩恵を受けている。」
ステファン・ホフマン(ISA顧問理事、ドイツ)
「ジョンやその他の人たちの意見はバランスがとれていて私の考えと一致する。私自身、今は吃症状は軽くなっているが、かつてひどく吃っていた頃は、確かに障害と感じていた。ニューヨークで様々な団体と接することは貴重な経験になると思う。」
ヤン・ピル(ISA顧問理事、カナダCAPS)
「「吃音は障害である」と定義することはISA憲章の中の、「ISAは吃音に関わるセルフヘルプ、予防、治療などの問題についての様々な意見を尊重し論議を奨励し、それらの問題についてISAとしてコンセンサスを求めることはしない」というガイドライン4項にそぐわないのではないか。従って、動議12の修正は、「ISAは吃音を場合によっては障害としてとらえ、年齢や症状の重さ、またセラピーやサポートを受けられるかどうかによって、対処できるレベルは異なるという立場をとる」としてはどうか。これによって、ISAでは吃音を障害とみなす人もいればそうでない人もいるという意味になる。」
マルレーン・グリーン(ISA顧問理事、言語療法士、カナダ)
「ヤンの修正動議に賛成。自分の吃音を障害とみるか否かは、吃音者によって様々な解釈があると思う。しかし多くの吃音者にとっては、吃音は確かに障害であり、ISAはできるだけ多くの吃音者の代弁者となるべきである。」
マーク・アーウィン(ISA会長、オーストラリア)
「個人的には、ヤンが指摘するように、修正動議が第4項に抵触するとは思わない。吃音が障害(disability)であるというのは、言語障害(speech impediment)であるということと同じである。吃音が永続的なものであれ、セラピーによって治るものであれ、それによって社会的、経済的な制限が生じるものであれ、これらは他の障害にも生じる問題であり、様々な捉え方ができる。むしろ、どのような場合に、障害とならないかと考えてみてはどうか。つまり、吃音障害(神経生理学的障害)と吃音による影響(これもよくdisabilityと呼ばれる)は区別されるべきだと思う。」
ウォーレン・ブラウン(ISA理事、ニュージランド)
「マークの意見に賛成。Speakingがわれわれに欠けている能力(ability)であるならば吃音はdis-abilityということになる。ニュージーランドでは、吃音は法律によって障害と定められている。」
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なお、月刊紙『スタタリング・ナウ』は、機関紙です。
伊藤伸二さんの、吃音症ことどもり症の啓発は、とても素晴らしかったです。
でも、吃音症ことどもり症の障害認定まではムリだったようです。。。
以前、伊藤伸二さんに、お電話しましたら、
「僕は吃音症(ことどもり症)での障害手帳取得という活動には、協力出来ない」
とおっしゃっていました。
でも、それでは、吃音症ことどもり症の人権は、一体、どうなるのでしょうか?
吃音症ことどもり症当事者には、手帳取得を認めて、障害認定した方が生きやすい人は増えるのではないでしょうか?
このまま、吃音症ことどもり症は必ず治り、存在しないもの、存在してはいけないものであるということにすると、いつまでたっても国や行政はなにも対応してくれないままです。
日本吃音臨床研究会のホームページ
http://www.bekkoame.ne.jp/i/chioaki/index.html
国際吃音者連盟(ISA)
http://www.stutterisa.org/index.html
---追記---
残りの部分も、以下、抜粋し、引用させて頂きます。
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アン・メルツアー(CAPSカナダ)
「メガネやコンタクトレンズをつけている人は、視力障害(impairment)といえるが、その人た
ちを障害者と考えるのか? (視力障害が重大だとその人に与える精神的、機能的影響は大きいことはある)(マークからの質問:吃音の症状が重くなければ障
害とはならないという意味なのか? )」
ヤン・ピル(ISA顧問理事、カナダCAPS)
「多くの吃音者にとっては、吃音は障害である」と動議を書き換えてはどうか。そうすると少数ではあると思うが、吃音はある吃音者にとっては障害ではないという意味が含まれることになる。でなければ4項は修正が必要となる。」
アニタ・ブロム(ELSA副会長、スウェーデン)
「障害だと決めるのは周りの人たちや本人自身であったりするとある政治家が言っていた。動
議12の「吃音は障害である」と「対処できる」という表現は、吃音者の間で論議を呼ぶであろうし、行政にとっても吃音者が援助を必要とするのかしないのか
判断がつけられないのではないか。」
ヤン・ピル(ISA顧問理事、カナダCAPS)
「マークの言うように吃音が言語障害であることに異論はない。しかしそれによって吃音はすべ
て障害であるという結論にはならない。私の人生において、吃音はずっと障害であった。ISAが障害者の運動と連係することを支持するが、「吃音は障害であ
る」という立場、表現は、障害ががあるとみなされたくない人だちのことを考慮していないことになるし、場合によってはとか多くの場合などの言葉を加えなけ
れば、様々な考え方に対してコンセンサスを求めないというISAの憲章との整合性がなくなるのでは。CAPSのニュースレターにアン・メルツアーが、その
記事の中で「吃音者は障害者として見られたいとみんなが思っているわけではない」と書いている。」
マルレーン・グリーン(ISA顧問理事、言語療法士、カナダ)
「吃音者の障害についての様々な解釈、行政や文化による考え方の違いなどを知
ることも大事である。私が会議などで関わった人たちのことを思うと、彼らはきっと障害とみなされることに不快感を感じるのではと思う。文化的な視点で言う
と、南アフリカのヴェンダ族では、王族に吃る人が多いため、吃音は重んじられている。しかし、多くの吃音者にとって間違いなく吃音は障害である。私として
は、ISAはいろいろな視点を認めるという当初の目標を尊重して、ヤンの提案しているような断定的でない表現が最適だと思う。」
ステファン・ホフマン(ISA顧問理事、ドイツ)
「ヤンとマルレーンの意見に賛成。現時点では、ISAはできるだけいろいろな考え方を受け容れるべきだと思う。」
川崎益彦(ISA理事、JSP日本)
「障害かどうかというメールを読んでいて、私は障害に対して何か差別のようなものを感じる。障害は悪い
ものだろうか。メガネをかけている人は視力に障害があるといえる。年をとれば誰でも足が不自由になり、若者のように走ることはできないし、車椅子を使うこ
ともありえる。確かに障害は不便だが、不幸ではない。吃音は障害の中では軽い部類に入るだろうが、その問題は決して小さくない。だから吃音は障害kどうか
という議論はとても重要だと思う。ISAの使命は世界に吃音を理解してもらうことだ。もし世界が吃音を理解すれば、吃音はディスアビリティであってもハン
ディキャップにはならなくなるだろう。僕は吃音はディスアビリティだと思う。」
マーク・アーウィン(ISA会長、オーストラリア)
「ヤンが吃音を障害であると認識したことで、その後の人生を生き抜くことができたと言っ
ていたが、これはまさに私自身の人生そのものであり、かつての私は、吃音についてそして障害に対して否定的でしかなかった。吃音を障害ととらえないという
ことは、吃音を恥じ否定する気持を持ち続けることである。(益彦の指摘したポイント)
ISAのビジョンが、世界の吃音に対する理解を深めることにあるのであれば、われわれは世の中の吃音に対する間違った理解や不毛で無用な認識をなくすためにもリーダーシップをとるべきである。そのためには吃音者は「カミングアウト」すべきだ。
こ
れは吃音者がすべてこの見解に賛成すべきであると言っているのではないが、ISAは政府やWHO、UNESCOなどの機関にわれわれの明確なメッセージを
訴えていく必要があり(アニタの指摘)、いくつかの国において既に達成されていること(ウオーレン)を強化するべきではないか。」
吃音を障害と捉
えることの唯一の問題は、無力感やセラピーに対するあきらめの気持ちを生むことになるかも知れないことである。しかしこの点については、動議の後段で「年
齢や症状の重さ、またセラピーやサポートを受け容れるかどうかによって、対処できるレベルは異なる」と述べていることで対応できているのではないか。誰か
もっとよい表現があれば出してほしい。」
マイケル・シュガマン(ISA理事、アメリカNSA、IFA消費者代表)
「WHOは障害をImpairment、Disability、Handicapの三つに区別している。
WHO
はまた、障害者は医学的な障害、言語聴覚障害などその問題は様々であり、それぞれの方法で乗り越えねばならないと書いている。ISAのビジョンは、障害者
に関わる「世界行動計画の展望」(Perspective in the World Programme of
Action)に以下の点において沿うものである。」
1) 予防
一次予防:精神的、身体的、感覚障害の発生の予防
二次予防:障害が生じたときに、それによってマイナスの身体的、心理的、社会的な影響が及ばないようにする
2)
リハビリテーション:リハビリによって最適な精神的、身体的、社会的な機能レベルに達することを目指す。国連の世界会議は、障害を持った人たちも含めて
「すべての人たちのための社会」を築くことをめざさなければならないことを強調しているが、私もその輪の中に入って、どもる人間として社会の一員として活
動に加わっていたい。
アニタ、マーク、ウオーレンの意見に賛成して、障害は吃音であるという立場をとる。」
ジョン・ステグルス(オーストラリアSEA会長)
「吃音の重さによって、吃音が障害であるか否かが決まるのかという議論に入るべきではない
と思う。吃音が重いかどうかは吃音者自身が決めることであり、周りが決めることではない。吃る自分を自覚しているという事実だけでもそれがあるレベルの障
害であることを確認することになる。障害は一つのレベルだけではないし、吃音障害者ですという印をつけることが目的ではなく、純粋に行政の援助や基金を得
られるように障害のある人たちと協力することが目的ではないか。
すべての動議に賛成。」
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なお、日本の吃音者団体である言友会etc...でも、以前、吃音症ことどもり症の障害認定について、訴えてはみたのですが、ダメでした。
でも、日本の吃音者団体や組織って、一体、なんのためにあるのでしょうか。
吃音症ことどもり症の当事者、個人個人が吃りながらでも、一人で自立して生きていけるように、きちんと障害認定した方が生きやすい人が増えるはずです。
日本の吃音者に対しての人権感覚は、あまりにも、酷すぎます。
これでは、自殺、犯罪、ひきこもりetc...そういう人を増やすことにしかなりません。
International Stuttering Awareness Day Online Conference, 2008
Don't Be Afraid of Stuttering
http://www.mnsu.edu/comdis/isad11/isadcon11.html
European League of Stuttering Associations
http://www.stuttering.ws/
Canadian Association for People Who Stutter
http://www.stutter.ca/
National Stuttering Association
http://www.nsastutter.org/
British Stammering Association
http://www.stammering.org/
New Zealand Speak Easy Association
http://shopzone.co.nz/speakeasy/
Stuttering Foundation of America
http://www.stuttersfa.org/
Australian Speak Easy Association
http://www.speakeasy.org.au/
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